バーチャルツアーを病院で導入するという発想は、一部の方にとっては想像しづらいかもしれません。岡山大学病院様では3Dタイプのバーチャルツアー「3Dウォークスルー」を導入されました。その活用方法について、学術研究院医歯薬学域の長谷井様にお話を伺いました。
3Dウォークスルーとは?
バーチャルツアーと呼ばれるもののひとつです。インターネット上で遠く離れた実際の場所や空間を、まるでその場にいるかのように歩き回ることができます。
\\ 体験してみてください! //
3Dウォークスルーを体験する!
岡山大学病院(岡山市)
150年を超える長い歴史と伝統を受け継いできた病院
岡山県岡山市北区にある、国立大学法人岡山大学の附属大学病院です。岡山市の中心部にあり、大学附属の特定機能病院として岡山県の地域医療の中心的な役割を果たしています。
岡山大学学術研究院医歯薬学域の
長谷井様に伺いました
-今回は3Dタイプのバーチャルツアーを導入されました。導入に至った経緯を教えていただけますか。
長谷井様:病院内は広く部署が非常に多いため、簡易的なマップでは説明がしきれません。全館内のマップを作ろうとすると情報量が多いため、細かくなりすぎるか、大きくなりすぎます。“アナログで管理できない以上、デジタル化するしかない”と思い、導入を決めました。
全体マップが未整理だったため、内科から採血に行くなど、その窓口からよく行く場所に特化した、各窓口が自助努力でオリジナルの部分的なマップを作っていました。
-ご来館された患者の方の様子はいかがですか?
長谷井様:かなり迷われていましたね。一度来られた方は問題ありませんが、初めて来る方だと特に難しいと思います。廊下が長いため、だんだん不安になりますよね。
-そういえば撮影に伺った際に、改築工事をされていましたが、建物の改築なども頻繁にあるのですか?
長谷井様:工事や部署移動は2,3か月に1回はあります。以前撮影された箇所も部署異動をし、改装工事中です。デジタルマップを作成するには手間がかかりますが、アナログのマップでも同様ですよね。
-ご活用方法を教えていただけますか?
長谷井様:Webページの施設案内に「岡山大学病院3Dマップ」を掲載しています。
-サイトを拝見しましたが、操作方法の動画や画像が用意されていて、初めて操作される方にとっても配慮されていると思いました。動画が特にわかりやすかったです・・!
3Dマップ使用方法イメージの動画
長谷井様:あとは、バーチャルツアーのリンクにアクセスできるQRコードを印刷し、ラミネート加工して館内の各所に掲示しています。これにより、スムーズに施設内を移動していただけるようになりました。
-導入によってどのような変化がありましたか?
長谷井様:以前、「子供がのどが渇いた時に、待合室から最寄りの自動販売機がどこにあるか分からず困った」という投書がありました。
車いす対応トイレ、おむつ交換台、授乳室、自動販売機など、患者さんが必要とする情報は多岐にわたります。バーチャルツアーの検索機能を使うことで、施設名を簡単に検索できます。これにより、どこに何があるのかを事前に把握でき、患者さんにとって非常に便利です。診察場所などはもちろん、診療とは直接関係ない情報も提供することができています。
計測機能を使って、車椅子でも通れるかどうかを確認できるのも有効です。
長谷井様:新しい職員への研修にも使えると考えています。これを使うことで、場所の説明に役立ち、分からない施設について聞かれた場合もスマートフォンがあれば、調べて患者さんに伝えることが可能です。
看護師の方から「新人研修に使っていいですか?」と質問を受けることがあり、実際に研修などで活用されているようです。
通常、現地に行ってみないと様子が分からないことが多いですが、事前に場所や構造を把握できることで、来館前に準備ができます。これにより、患者の方にも安心して来館いただけると考えています。
-導入を検討されている方へ
長谷井様:デジタルマップとして3Dウォークスルーを導入している病院はまだ少ないのではないでしょうか。中にはデジタルに対して「何がそんなに便利なのか」が分からない方も多くいらっしゃると思います。
特に病院内では、患者さんにぶつかるリスクや、転倒して怪我をするリスクがあります。商業施設とは異なり、病院ではこうしたリスクが高く評価される傾向にあります。
歩きスマホになるリスクは確かにありますが、個人的には、迷いながら紙のマップを見て歩くことと、スマホの画面を見ながら歩くことは同じだと考えています。
基本、病院内では撮影禁止です。スマートフォンを出すことを気にする患者さんがいらっしゃると思われますが、呼び出し通知スマホアプリがどんどん普及しているため、病院でスマートフォンを使うことのハードルが下がっています。対策の為、ホームページにも壁面掲示にも「歩きスマホ禁止」と大きく記載をしています。
また高齢者はスマホに慣れていないことが多い という議論もありましたが、スマホを使える世代が年を取っていくことを考えると、将来的にはスマホを利用する方が増えると思います。ですから、スマホを使える人にとっても便利になるようにシステムを導入することが重要だと考えています。
-3Dウォークスルーに決めた理由は?
長谷井様:2Dパノラマのバーチャルツアーなども検討しましたが、将来的にはデジタルツインの利用も視野に入れており、点群データとして保存しておくことに価値があると感じています。
※デジタルツイン:実世界と対になるふたご(ツイン)をデジタル空間上に構築し、モニタリングやシミュレーションを可能にする仕組みの事
-撮影様子をみて、感じられたことは?
長谷井様:イザンさんに依頼をして良かったのは、夜に撮影してくれたことですね!日中の撮影はプライバシーや安全性を考えると難しいです。
-深夜、土日でも追加費用もいただきません!撮影時は夜の21時ごろから深夜2~3時ごろまで病棟内を撮影していました。深夜病棟の撮影は初めてでドキドキしました笑
改修工事などにより、病院内が次々と変わるため、長谷井様にバーチャルツアー編集のレクチャーを行い、更新いただけるようにしました。場所の紹介や、床の矢印など、独自の工夫を加えてオリジナルマップを作っていただきました!素敵です!
■岡山大学病院
住所
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2丁目5−1
バーチャルツアーはこちらからご覧いただけます
■長谷井 嬢(はせい じょう)様
学術研究院医歯薬学域 医療情報化診療支援技術開発講座
長谷井様よりコメントをいただきました!
当講座では、病院デジタルツインだけでなく、AIやメタバースを用いた医療DXに幅広く取り組んでいます。医療DXに取り組まれている方や、医療業界でのシーズ創出を考えている企業の方など、お気軽にご連絡ください。一緒にデジタルを用いた医療改善を頑張りましょう。
あなたはこんなお悩みありませんか?
バーチャルツアーなら解決できます!
◯改修工事や部署移動など、施設内の情報が頻繁に変わるため、
最新情報の提供が難しいと感じていませんか?
情報を更新できるので、常に最新の施設情報を提供できます。
◯訪問者の方が迷子になりやすく、
効率的な案内が必要と感じていませんか?
直感的に施設内を案内でき、迷子防止に役立ちます。
また、事前に知ることができ安心です。
◯新しい職員の方への効果的な施設案内や
研修に課題を感じていませんか?
施設の全体像を把握しやすくなり、効率的な研修が可能になります。
◯施設内の案内情報が多すぎて
利用者の方が混乱してしまうことはありませんか?
ご利用者の方がご自身で見たい情報を得ることができます。
◯新しい技術の導入にかかるコストや、
それを維持・管理するためのリソースの確保が難しいと感じていませんか?思ったよりリーズナブルに導入できると言っていただけます!
DXを一緒に進めましょう!